20.湖底に沈む評定場とは?

20.湖底に沈む評定場とは? 有田ダム

青空を吸いつくし
湖心はうっとりと
微笑んでいる
風ひかれば 森うたい
潭はいま 静かに
傾く瑠璃の器

◇これは佐賀ゆかりの詩人、山本太郎が有田ダムの岸にたたずんでよんだ詩です。彼によって「秘色の湖」と名付けられたエメラルドグリーンの湖の底には、「評定場」とよばれた広大な盆地状の広場が眠っています。その昔、黒髪山に住む大蛇を退治するための相談がなされた場所という伝説から、そう呼ばれるようになったといいます。
◇このダムは1961年(昭和36)、約3年の月日をかけて完成しました。堤高27.5メートル、堤長108メートル、総貯水量は188万トン。飲用、農業用として、また有田川流域を洪水から守るために作られたものです。現在は12.2メートルの遊歩道が作られ、姉妹都市であるマイセンの森や白川生活環境保全林があります。キャンプ施設もあって、四季を通じて町民の憩いの場となっています。
◇ダムができる前、黒髪山から流れてきた水は、今の「ひょうたん島」の西側を巻き、評定場の台地を今度は東に巻いて白川の集落へと流れていきました。その流れは冷たく清く、白川谷一帯は、夏の休日ともなると町民のかっこうの避暑地になりました。会社や料亭所有の東屋がそこここに建ち、人はそこで横になりながら河鹿や野鳥の声を聞いてすごしました。
◇この黒髪山麓は薪の宝庫でした。雨の降らない日曜日は、朝から町じゅうの人が清流ぞいの山道に行列してマキをひろい、昼ごろには自分の背丈以上に積んだ薪を背負って、にぎやかに降りて行きました。それは家庭に石炭が普及する1955年ごろまで続きました。また、山道は白川釉石採石場に通じていて、陶石を満載した馬車が下っていました。

(吉島幹夫)

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