有田のことば

 日本各地には多くの方言があります。有田も然り。その中で、お産婆さんのトヨさんの日記に、たびたび「オハギヒカリ」とか、「別れヒカリ」「男女ヒカリ」などの言葉が出てきて、どういう意味なのかわからず、町の古老にも聞いたりしましたが「聞いたことがない」という返事でした。文章の前後から何となく感じられたのですが、改めて有田町史別編の『有田の方言』を探すと、ありました!そこには「ひかい」とあって「何となく気の合った人たちがふと思い立って催す小宴。陶工たちの楽しみである。誰言うとなく今夜ひかろーかといって宴会になる」とあります。『日本国語大辞典』にも福岡県朝倉や佐賀県藤津郡の方言として「金銭または物を出し合って飲食すること」とあります。近所付き合いが濃厚だったころ、また今のように余暇の過ごし方がバラエティーに富んでいなかった時代は、この「ひかり・ひかい」が絶好のストレス発散の機会になったのだと思われます。

 また、以前ある古老から「あそこは“そろそろ貧乏”にならいた(なった)」という言葉を聞いたことがあります。思わず、それってどういう意味ですか?と尋ねた所、いつの間にか、わからない(認識しない)うちに貧乏になっていくことだと。これもまた『有田の方言』に記録されていました。

 最近、「どーぶりー」という言葉を有田のあるブログで拝見しました。そこには「胴振り」とあり、『有田の方言』には「仕事場や仲間中で旅行に行ったり宴会をした後で、その勘定を兼ねて仕舞い祝いをすること」とあります。さらに『日本国語大辞典』には「どうぶるい:【方言】伊勢参りなどの旅行から帰った祝いに酒を飲んで別れること」とあって、滋賀県や山口県などの言葉と表現されています。恐らく、お伊勢参りに関する言葉として各地に残っていたものが、有田では現在も若い人たちの中で使われているのではないかと思います。地方の言葉が歴史の中に息づいているようで、ちょっと嬉しくなってしまいました。                  (尾)

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