偶然

 海外で偶然、知人と会うこともたまにはあるようです。海外と言っても旅行者が出かける場所は限られているからでしょうか。かく言う私も何度か会ったことがあります。今日はその内の二つを紹介いたします。

 息子が小学生の頃、家族で韓国旅行に出かけたことがありました。その時、韓国のとある博物館の展示室で二、三人の日本人の小学生と一緒になりました。九州弁を話しているので、何気なく、「どこから?」と聞いたのですが、「有田」と答えるではありませんか。その子の名札をまじまじと見ていると、ぞろぞろと有田の小学生が現れ、その後ろから課長や教育長まで現れた時はさすがに驚きました。
 当時、有田は少年少女韓国訪問研修として児童を送り出していたのですが、その日程を全く気に留めずに旅行に出かけていた私でした。

 もう一つは有田に就職する前のことになるのですが、26年ほど前、ヨーロッパに山登りに行った時のことでした。当時の南廻りの各駅停車のような飛行機でフランクフルトにたどり着いた日の夜のことです。少し匂う大型リュックサックに登攀具をガチャガチャぶら下げて、中央駅前で安いレストランを物色していました。
 すると前の方から日本人のビジネスマンが3人ほど歩いてきます。ビジネスマンと言っても商社マンという感じではなく、霞が関っぽい人種です。すれ違う時、一瞬見た一人の横顔は日本でもめったに会わない東京在住の伯父でした。
 すれ違ったその時はまだ確信が持てず、また私自身、あまりきれいな恰好をしていなかったので、すぐに声をかけることがはばかれました。それでもやっぱり確かめようと振り返った時はもう姿は見えませんでした。

 その後、そのことをゆっくり話す機会がないうちに、伯父は他界してしまいました。あの時勇気を出して声をかけていればと今でも後悔しています(野)。

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