明りをつけましょ、ボンボリに…

 有田町内では、先週土曜日から各所で“有田雛(ひいな)のやきものまつり”が始まりました。“やきもの”と銘打っているように、陶磁器製の人形をメインにした催しが行われますが、当館でもHPのトップページで紹介していますように、先週、立春の日に収蔵品の雛人形を展示しました。当館のものは焼き物ではなく、一般的な雛人形です。
 女の子の健やかな成長を祝うための桃の節句・雛まつりですが、これらは昭和の初め、白川保育園に今泉家から寄贈されたものがメインで、大小3体と御殿飾りのお雛さまです。中には親王飾りの男雛がいなかったり、三人官女が二人官女となったりしていますが、嫁入り道具の鏡台や箪笥・長持ち、牛車やお駕籠などはすべて木製漆塗りの本格派です。
 この世に存在するモノすべては、年を経るごとに古びていきますが、こと雛人形に関してはどちらかと言えば古い方が趣きがあると思うのは私一人でしょうか。

 以前、有田では旧暦の4月3日に「桃の節句」として祝う事が多かったようです。その折のごちそうは田螺を入れて「およごし」という豆腐や味噌で和えた料理を作っていたそうです。この日に田螺を食べると病気をしないといわれ、貴重なたんぱく源だったようです。その他、「ふつ餅」という、よもぎ(有田ではよもぎのことをふつと言います)を練り込み餡を包んだ餅も、この季節ならではのものです。

 ところで、有田焼の製品として、17世紀末ごろから18世中ごろにかけての色絵人形道具(ミニチュア)がオランダに輸出されていて、当時流行していたドールハウスに用いられたようです(九州陶磁文化館開館20周年記念「古伊万里の道」図録94頁に掲載)。実際に使われていた大きさの製品と形状は同じで、色絵も付けた製品ですが、今思えば随分と贅沢なものではなかったかと思います。

 雛人形の道具類の中のお茶碗や皿なども、江戸時代の有田では得意の技の一つであったようです。佐賀市でもこの季節、「佐賀城下ひなまつり」が開催され、鍋島家ゆかりの徴古館では大名家の雛人形のお道具の中に、明治期の深川製磁の製品で細かなティーセットがあります。やんごとなきお姫様もこのお道具を愛でられたのでしょうか。

 漆器類の道具は、どうしても時間の経過とともに劣化していきますが、陶磁器製のものは割れない限り、作られた当初の形や色合いを保つことができると思いますし、やはり、女性は小さな、可憐なものに心惹かれます。現在の有田焼で、精巧な雛人形の道具類ができたら素晴らしいだろうなあと一人思っているところです。                           (尾)

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