文化財防火デー(続編)

 昨日のブログも文化財防火デーでしたが、本日もまた同じネタの続編です(単に原稿を途中まで書いてたためですが)。

 例年1月26日は、“文化財防火デー”と定められています。昭和24年の同日早朝、修復中の現存する世界最古の木造建造物である国宝の奈良・法隆寺金堂から出火し、内部に描かれていた12の壁面の絵画が焼損してしまいました。この壁画は7世紀終わり頃の作で、中国の敦煌の壁画などと並び、アジアを代表する仏教壁画の一つに数えられていました。
 この事件は、国民にも大きな衝撃を与えました。災害による文化財保護の危機を憂慮する世論が高まり、昭和25年には“文化財保護法”が制定されたのです。そして昭和30年、普及・啓発活動の一環として、当時の文化財保護委員会(現文化庁)と国家消防本部(現消防庁)が、1月26日を“文化財防火デー”と定めました。文化財を火災、震災、その他の災害から守るとともに、全国的に文化財防火運動を実施し、文化財愛護に関する意識の高揚を図るのが目的です。これに合わせて全国の市町村などでも、前後の時期に文化財の消火訓練などが行われています。

 有田町でも、町と町教育委員会、町消防本部の主催で、消防団や近隣地区などのご協力を得て、例年消火訓練を実施しています。59回目となる今年は、27日(日)の9時より、雪のちらつく(九州としては)極寒の中、大樽の陶山神社で実施しました。陶山神社を選んだのは、前回の訓練からすでに15年も経過していることもありますが、近年新たに3つの物件が町の重要文化財に指定されており、その周知を図る目的もありました。
 陶山神社にある指定文化財としては、国の登録有形文化財に指定されている磁器製の鳥居はよく知られています。これは明治21年(1888)に稗古場地区より奉納されたもので、ほぼ同じ磁器の鳥居は、他に佐賀市の松原神社と長崎市の宮地獄八幡神社にもあります。また、町の重要文化財としては、平成22年に指定された青銅製の燈籠(重第10号)と青銅製狛犬(重第11号)、新たに今年度指定された本殿の磁器製玉垣(重第14号)があります。鳥居や燈籠・狛犬などは境内の目立つところにあるので、陶山神社を訪れたことのある方なら、ほとんどの方が目にされているかと思います。しかし玉垣は、普段お参りをする拝殿ではなく、その裏の本殿に設置されています。そのため、拝殿の正面からは見えないので、ご存じでない方も多いのではないでしょうか。
 玉垣は、磁器製の擬宝珠(ぎぼし)や柱、桁、支えなどを組み合わせたもので、本殿の左右にそれぞれ“L”字形に設置されています。長さは左右ともに3.1mで、表面には手描きで美しい染付の蔓草文様がびっしりと描かれています。また、柱の部分には寄進者などの名前も記されており、その中の「奉寄進 本幸平山 弘化三年(1846)丙午九月吉日」の記述から、弘化三年に本幸平山の窯焼きなどによって寄進されたことが分かります。磁器製の玉垣自体珍しいのですが、もちろん江戸時代の作品ともなると、他には例が見当たりません。拝殿の正面からは見えませんが、ちょっと横に回ると見えますので、機会があれば、ぜひご覧いただけたらと思います。

陶山神社本殿の磁器製玉垣

 文化財防火デーの消火訓練は、一番寒い時期に行うため、どうしたらより多くの方々にご参加いただけるのかが毎年悩みの種です。知っているようで知らない消火器の使い方の講習なども行いますし、子供たちには、本物の消防車を使って放水するのを見られる珍しい機会かもしれません。また、昨年度からは、簡単に訓練場所の文化財について説明することにもしています。次回はまだ場所は決まっていませんが、より多くの方々にお集まりいただけるよう、何か方法を考えてみたいと思います。(村)

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