あけましておめでとうございます

あけまして、おめでとうございます。本年も微力ながら、このブログを通じて有田の窯業史に関するさまざまな情報を発信して行きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

新年最初なので、何かおめでたいことでもと思ったのですが、正月ボケ(?)なのか、なかなか妙案が思い浮かびません。何かないかなと思いつつ、ぼんやり目の前の陶片を眺めていると、高台の中に何やら銘が記されています。おめでたい話しと高台銘が結びつくはずもありませんが、そこは何とかこじつけて、本日はやきものに記された吉祥銘のことにでも、軽く触れてみたいと思います。

磁器の器の高台の中には、よく銘が書かれています。今では、製造した窯元の名前が一般的ですが、江戸時代には手本とした中国瓷器の銘やそれを改良した銘が記されていました。銘には「大明年製」などの中国の年号銘をはじめ、たくさんの種類があります。その中には「福」などのおめでたい文字、いわゆる吉祥銘を書いたものも珍しくありません。

「福」銘は江戸時代を通じて使われた定番銘の一つです。そのため、楷書体や篆書体などのほか、「田」の部分をぐるぐると渦状に変えた「渦福」と呼ばれるようなものなど、さまざまな書き方が工夫されています。たとえば、18世紀の下級品などでは、おもいっきり簡略化され「渦福」の渦の部分だけのものすらあり、オリジナルを知らない限り、「福」の字であることは想像すらできません。そのほか、主に17世紀に使われた「禄」銘や、まれに使われた「寿」銘などもあります。これらを繋ぎ合わせると七福神として知られる「福禄寿」になり、それぞれ“幸福”、“封禄”、“長寿”を表します。

こうした吉祥文字は、高台内だけでなく、碗などの文様としてもよく使われました。特に磁器のはじまって間もない17世紀前半には、文字を文様代わりに並べた碗なども多くあります。縦に「福 福 福」、福 禄 寿」、「寿 福」、「長 命」などと書いた文様を、碗の周囲にぐるっと記しており、これでもかというくらいおめでたそうな文様です。

当時の人達がどれだけ、吉祥文字やその意味を意識して使ったか分かりませんが、普段から「福」、「寿」なんて文字で埋め尽くされた器を使っていると、何だかそのうち幸運が迴ってきそうな気はしそうです。 (村)

渦福銘

吉祥文字銘碗