高いところ、深いところ(2)

今日はいきなり補足から始めます。以前、「高いところ、深いところ」で、有田焼が出土している最も標高の高い場所として、標高2240メートルのメキシコシティを紹介しましたが、それよりさらに200メートルほど高いところから出土している肥前磁器がありました。前回の「高いところ、深いところ」で、霊峰の富士山、立山、白山などで発見される可能性があると書いた後、気になって調べてみました。そうすると、すでに北アルプスの立山の「芦跡寺(あしくらじ)室堂遺跡」(富山県中新川郡立山町)で肥前磁器が出土していたことがわかりました。標高は2450メートルです。肥前(現在の佐賀県・長崎県)には有田焼だけではなく、いろいろな磁器産地がありますので、有田焼と断定できるかどうかわかりませんが、江戸時代の肥前で焼かれた陶磁器がこの北アルプスの高所に持ち込まれていたことは確かなようです。

この室堂遺跡は江戸時代に立山室堂平に建てられた現存する日本で最古の山小屋「室堂小屋」に伴う遺跡です。この小屋は国の重要文化財に指定されています。立山信仰の登山者によって古くから利用されてきたもので、近年まで実際に宿泊施設として利用されていました。私自身は泊ったことはありませんが、北陸に住んでいた学生時代には剣・立山に出かけてはこの山小屋を何度も目にしていました。もちろん、当時はそのような貴重な文化財であるとは気づきもしませんでした。世界有数の豪雪山岳地帯にありながら、よく長年の風雪に耐えてきたものです。

発掘調査はこの老朽化した室堂小屋の解体修理に伴い、その歴史と変遷を知るために、1992年度と1993年度に立山町教育委員会によって行われたものでした。地元の富山大学などが参加しています。以前の建物の礎石などの遺構の他、土師器、越中瀬戸など中世の遺物とともに、肥前磁器や銅銭など近世の遺物が出土しています。しかしながら天上の北アルプスで発掘調査とは、山好きな私にとって見ればうらやましい限りです。発掘調査報告書に掲載されている調査参加者の雄大な立山を背景にした記念写真は、発掘調査チームというよりはまるで登山パーティーのようにも見えます。(野)

「どこを登っているでしょう?」(古い山のアルバムから-2枚とも剣岳-)

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