はじめまして

  文化財課学芸員の村上です。主に担当している仕事は埋蔵文化財関係で、町内の発掘調査や出土資料の整理作業、有田焼の歴史に関する研究などを行っています。本日は初登場ということで、まずは、現在日々仕事に励んでいる有田町出土文化財管理センターやそこで行われている作業などについて、ご紹介してみたいと思います。

 出土文化財管理センターは、泉山の歴史民俗資料館と同じ敷地内にあります。発掘調

 査で出土した古陶磁片などを整理・保管する施設で、平成5年度に完成しました。鉄筋コンクリート造の二階建で、合計床面積は847.39㎡ありますが、出土品の整理室や事務室を除いた全体の4分の3程度は収蔵室です。歴史民俗資料館などのような展示施設ではないため、普段はなかなか人目に触れる機会もありませんが、文化財課の事務所にもなっているため、有田町の文化財に関する業務は主にこの建物で行われています。

有田町出土文化財管理センター遺物収蔵状況

 現在、この施設を中心に有田町が保管している出土資料は、収蔵コンテナ1万数千箱もあります。そのほとんどは、有田の窯跡などから出土した古陶磁片で、一つのコンテナには数10点から100点以上の陶片を収めてあるので、数えたことはありませんが、総点数は100万点以上になると思います。なので、破片とは言え、世界で一番有田の古陶磁をたくさん収蔵している施設なのは間違いありません。

 ここで行われている整理作業は、発掘調査の出土品を洗ったり、出土地点を記入したり、復元、作図、写真撮影、調査報告書の編集など、多岐に渡っています。なかなか根気の必要な作業も多く、中には出土品を洗うだけで3年もかかった発掘調査もありました。また、すべての陶片の断面には、一点一点細い筆で、遺跡名と調査年度、平面的な出土位置、出土した土層、収蔵コンテナ番号などを記したりもします。ものすごく時間はかかりますが、これによって、一つ一つの陶片自体が持つ情報に加えて、発掘情報も加えることができます。より信頼性と精度の高い発掘情報を加えるほど、活用する上で良好な資料となるわけです。

 こうした出土資料類は、有田焼の歴史を研究する上で、極めて重要なことは言うまでもありません。たとえば、よく博物館や美術館などに展示されている有田の古陶磁に、何年代頃などと製作年代が示されています。そういう年代もほとんどはその展示品自体から判明するわけではなく、発掘品の研究がベースとなっているのです。なので、なかなか出土陶片自体が人目に触れることはありませんが、重要な役割を担っているわけです。

 また、現在も窯業の町として続いている有田の場合は、歴史関係以外に活用されています。一つ一つの陶片には、数えられないほどさまざまな器形があり、さまざまな文様が描かれています。これは、有田焼400年の中で有田が生み出してきた貴重な英知の塊であり、現代の作陶のお手本や見本となるものなのです。

 今現在も、出土文化財管理センターでは、刻々と出土品の整理作業が進んでいます。それらの陶片が表舞台に立つことはないにしても、有田の窯業が400年の歴史を持つ確かな証拠として、出土文化財管理センターで大切に保管すること自体に重要な意義があるのです。この出土陶片の一部については、有田焼400年の歴史を陶片で振り返る内容で、有田焼参考館に常設展示していますが、11月の1ヶ月間は企画展のために展示替えをしていますのでご了承ください。機会があれば、ご覧ください。

学芸員 村上 伸之(有田町文化財課 副課長)

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